自転車で安全に走るということ
【この記事は2018年8月17日に加筆・更新しました】
こんにちわ!東裏篤史です!
京都胡麻へ移住してサイクリングツアーショップとゲストハウス、web制作をしています。
僕の住んでいる京都胡麻はサイクリストが本当に多く訪れる場所で、ロードバイクで走っている人を本当によく見かけます。
そこで今回は自転車でいかに安全に走るか?をテーマに、よくある一般的な交通ルールとは違った視点でお話させていただきたいと思います。
自転車は弱者?
世間では一般的に自転車は「弱者」として扱われています。
その視点から、いわゆる道路交通法を通した視点で様々な意見が交換されているのをみなさん見たことがあるのではないでしょうか?
自転車も道交法への理解と遵守を
以前Webメディアで自転車の走行マナーについて書いたら、転載されたWebニュースのコメント欄が激しく盛り上がってしまった。書いた内容は「クルマでの左折時に交差点手前で左寄せしたら、追いついてきた自転車が道交法だということを知らず幅寄せだとカン違いして怒る」というもの。実際、こういったケースは少なくない。
興味深いのが寄せられたコメントの内容。自動車関連問題を取り上げた時のWebニュースのコメントは、基本的にクルマ叩きに終始する傾向にある。クルマ離れ世代がコメント書く人に多いのだろう。しかし今回はまったく違っていた! 95%が自転車のマナー違反を厳しく咎める内容だったのだ。どうやら多くの人が同じような体験をしている様子。まぁ自転車の無謀な運転マナーについちゃ改めて紹介するまでもなかろう。そもそも警察がまったくヤル気なし。なぜ脱法行為を無視するのか。
上記は「自動車評論家 国沢光宏」さんのブログ「自転車の無謀運転その2(8日)」から引用させていただきました。
僕の視点では、自転車に乗っている人と、車に乗っている人、そして両方に乗っている人、当然意見が食い違うのは当たり前です。
道路交通法を理解して、それを遵守するような記事はもうネット上にたくさん溢れていますが、自転車を趣味として楽しんでいる人へ「好きな自転車で命を落とさないため」の記事は少ないと思いました。
公道というジャングルで自転車が生き残るために
のっけから物騒なタイトルですが、読んで字のとおりです。
論点として、「クルマ VS 自転車」という話が始まると、当然どっちが正しいか?という話に終止してしまいます。
正しい、正しくないではありません。自転車は車と比べて確実に弱者なのです。
ここで言う「弱者」とは、道路交通法の弱者ではなく、物理的な意味を指します。
考えてみてください。自転車とクルマがぶつかったらどうなるか?
自転車に非があろうとなかろうと、ぶつかって傷つくのは自転車です。
それを道路交通法の視点のみを通して考えたところで、大怪我、もしくは死に至る可能性があるのは物理的な弱者である方のみです。
当然、自転車と生身の人間であれば人間が弱者となります。
健康のため、趣味の楽しみのために命を落とさないために、公道という無法のジャングルで生き残るサバイバル術を列挙していきたいと思います。
自転車で生き残るために
健康のために自転車を始めたという人も多いと思います。かくいう僕もその1人です。
しかし、いつも思うのが、自転車に乗って健康になって伸びる平均寿命と、自転車に乗ったがために事故にあって命を落とす人により下がる平均寿命、もしかしたらトントン、またはそれ以下で寿命を下げているんじゃないか?ということです。
それほど、自転車で怪我をした、亡くなったという話を耳にします。(それがとてもショッキングなニュースなので特に耳に残っている、ということだと思いますが・・・)
道路交通法は守って当然(信号無視をしない、などという低次元な話はここでは持ち出しません。)ですが、いかにして安全に一般公道を走るか?という視点で解説していきたいと思います。
公道を走るということ
こうどう【公道】
1.だれが通ってもよい道。「天下の―」
2.おおやけの機関がつくり、維持する道路。
-ウィキペディアより
はい、誰が通ってもよい道、なんですよね。
安全に走ることに気をかけて、運転技術のある自動車ドライバーも、保険にも入らず信号も無視する無法者ドライバーも公道を走っています。
子供を自転車に載せたお母さんも、犬を連れて散歩するおじさんも、誰もが歩き、走ることが許されています。
もしかしたら、認知症でここがどこかわからない老人が車を運転している可能性もあります。
それほど、多種多様な人や車や自転車が往来しているのが公道なのです。それそのものがそれほど危険な行為なのです。
視点によって変わる心
車しか運転しない人だと、車を通しての視点しか持ち合わせていません。
そんな人が、例えば天気の良い休日、見晴らしの良いワインディングロードを車で運転中に、大きなエキゾースト(排気音)を響かせて、1000ccオートバイのスーパースポーツが後ろにやってきたらどう思うでしょう?
「何だうるせーな・・・」
たぶん、それぐらいのことしか思わず、そのまま走り続けるでしょう。
なら、オートバイの人はなぜ走っているのでしょうか?
天気の良い休日のワインディングロード。1000ccのスーパースポーツで久々のツーリング。気持ちよくないわけがありません。
コーナーの攻略法を思い描きながらラインを選ぶ。趣味の楽しみとしてオートバイに乗っているのです。
僕なら、見通しの良い直線まで着たらハザードを出して速度を落とし、窓を開けて手で「お先にどうぞ」とサインを出します。
そうすると、ほぼ100%の確立で後のオートバイは「ありがとう」のハンドサインを出して気持ちよく加速して追い抜いていきます。
優しい視線を持つということ
僕は自転車に乗りサイクリングツアーのガイドやサイクリングコースの造成を仕事として行っています。
当然、自転車に乗っているという視点から物事を見ることができますが、それと同時に車の運転も大好きで、サポートカーに自転車を満載にして日本中をまわっています。
そして、16歳でオートバイの免許を取得してからは23歳でドカティ996を愛車にして公道走行を楽しむライダーとしての視点も持っています。
つまり、それらの乗り物に乗る人の立場になって考えることができます。
そうすると、優しい視点で相手を見ることが出来るのです。
優しい視線で相手を見れば、事故はほとんど未然に防ぐ事ができます。
オートバイの立場で車を運転していれば、気持ちよく走りたい!という心理を理解できます。
歩行者の立場で車を運転すれば、見通しの悪い一時停止はもちろん停止します。
ということは、車を運転している人の立場で自転車に乗れば、事故を未然に防ぐ事ができるのです。
色々な乗り物に乗っている人の立場で自転車に乗り、公道で生き残る処世術
ここから上げる内容は、道路交通法とは関係ないところでの自転車マナーです。なので、一般的な警察や行政の作る安全マナーの視点からは絶対に出てこない方法です。
ポイントは、公道を走っている(歩いている)様々な人々の立場に立って自転車に乗るということ。
車で移動している人はレジャーか、仕事か。大型トラックは多分仕事で道を走っているのでしょう。
先程のオートバイなら趣味のツーリングでしょうし、我々のようにパッツンパッツンのサイクルジャージ(笑)を着て走っている人はほぼ趣味のサイクリストでしょう。
そんな、色々な立ち位置の人々の立場になって公道を走る、ということが大事なのです。
そして、自転車が事故に合い被害者になるとき、相手となるのが自動車です。
つまり、「自転車で自動車をいかに気持ちよくさせるか」です。いわば自転車が生き残るための自動車へのおもてなしということですね。
「なんで車を気持ちよくさせないとダメなのよ!?」という人もいるかもしれませんが、ぶつかれば自転車が負けるのは自明の理。
ならば車のドライバーにはイライラせずに気持ちよく走ってもらった方が良いことは間違いありません。
信号待ちではすり抜けしない
前方の信号が赤になって、前を走っている車が停車したときあなたはどうしますか?
ほとんどの人が、停車した車の横をすり抜けて前に出ると思います。
その後青信号になればどうなりますか?
速度で劣る自転車が、多くの割合でまた自動車に抜かれることになります。
もしそれが市街地で、信号の多い場所の場合、何度も何度もそれが繰り返され、同じ自動車に同じ自転車が何度も追い抜かれることになります。
そうすると、自動車のドライバーは狭い街路で何度も自転車を追い抜くハメになるので「遅いくせに前に出るなよ!」とイライラします。それが仕事で道を走っているドライバーならなおさらでしょう。
ではどうするか?
自転車は信号が赤になれば車の車列の通り止まって待てばよいのです。
これは山間部の工事用無人信号でも同じことがいえます。
あなたが前に出れば、工事中で車線が規制された狭い車線の道路を、車は前を走る自転車を慎重に追い抜かなくてはなりません。
この場合は、止まっているときに自転車の後ろに並んだ車列の車も全て先に行かせてやればOKです。
「そんなの、車を後に待たせて走ればいいじゃないか」というサイクリストの方もいるとは思いますが、ここでのポイントは「自動車のドライバーに、サイクリストの悪い印象を持たせない」ということ。
サイクリストに悪い印象を持ったドライバーは、ほかの場面で無理な幅寄せや追い抜きを行う可能性が高くなります。
その場のあなたはよくても、別のサイクリストが被害に合う可能性があるのです。
トレインを組む時は後ろに注意し、対応した行動を取る
トレイン、いわゆる自転車で隊列を組む集団走行ですね。ロードバイクで仲間と走るときの醍醐味でもあります。
ところが、車のドライバーからこれを見ればどう思うでしょうか?
あなたが車に乗っているときを想像して考えてみてください。
田舎道から続く見通しの悪いワインディングロード。ロードバイクが6台、あなたの前を隊列を組んで走っています。
速度は約30キロ。隊列の長さは大型バスより長く20m以上はあるでしょう。
長い直線があれば抜かせますが、中途半端に速い速度で前を走っており、なおかつ見通しも悪く対向車もありなかなか抜かすことができません。
自転車は、全くこちらを気にすること無く、下りのコーナーでは車線の真ん中まで大きく使って速度を上げて走ります。
そうこうしているうちに、あなたの後ろにどんどん車が渋滞していました。
自転車へのイライラと、後の車からのプレッシャーを感じて、あなたは少し見通しの良くなった直線でアクセルを大きく踏み込み追い抜きにかかりました。
と、その時突然前から対向車が!!!
どうでしょう?その場面が想像できましたか?
時速30キロで走るロードバイクというのは、実は車にとったらとてもイライラする速度です。
それが一台ならまだしも、5台6台と並んで走られたらどうでしょう?
その隊列の長さは20m以上となり、とんでもなく大型のトレーラーやバス以上になります。
それが登りで20キロ、下りで40キロほどの速度で走り続けたら、自動車はなかなか抜くことができません。
ではどうするか?
この場合、自転車で隊列を組む時は最初のルールとして、一番後方の人が後ろに車が来たときに、前走者に「クルマ!!」や「トラック!!」と伝え、それを伝言ゲームのように先頭まで伝える、というのが有効です。
隊列の先頭は、後方に車が来たかどうかに気づくことはそのままでは困難です。なので、最後尾から前方に「声」を送って伝えます。
先頭が車を認識したら、先頭が隊列に速度ダウンの支持を出します。
これにより、安全に車に追い抜いてもらうことができます。
また、大集団で走る場合は最高でも5人程度のグループに小分けにしてトレインを組むことも重要です。
車を敵視して抜かさせないのは論外ですが、先頭が気づかずにそのままトレインを組んでいたとしても、車からの無理な追い抜きに合い事故に巻き込まれて傷つく、最悪の場合死に至るのは自転車の方です。
まとめ
どうでしたか?
一般公道は様々な立場の人が走る場所です。休日に楽しく自転車に乗っているあなたの横を走るトラックのドライバーは、その日仕事でノルマに追われて走っているかもしれません。
自らのこと、そして仲間のこと、さらに他のサイクリストの生命を危険に晒さないためにも、公道を走るときのポイントをお伝えしました。
道路交通法を遵守しているだけでは絶対に安全とはいえません。
楽しみのために自転車に乗るためには、それ相応の「ルール」だけではなく「マナー」が必要です。
そして、マナーとは、相手の立場に立って優しい視線で物事を見るということなのです。
さあ、今日も楽しく自転車に乗って健康になって平均寿命を伸ばしましょう!(笑)
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