新しい人生のステージが登場する!
LIFE SHIFTの著者リンダ・グラットンさんはこの本の中で、現在の社会を生きる人々のステージは3つに分かれていると提唱しています。
まず、生まれてからおおよそ20代で大学を卒業するまでの「勉強」のステージ、学校を卒業して社会に出てサラリーマンや経営者として働く「仕事」のステージ、仕事を引退して年金生活となり過ごす「リタイア」のステージ、この3つです。
しかし、人々の寿命が伸び100年間生きることが当たり前となる近い将来には、「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオワーカー」という人生の期間が新しく生まれると提唱されています。
エクスプローラー
「エクスプローラー」は旅をしたり、経験を積んだりして社会の見聞を広める期間。見知らぬ国や土地に行きそこで新しい人との出会いを作る。今までの人生では触れることのなかった学問を身につけたり、旅先で様々な世界と交わり自分の中で新しいものを生み出すステージのこと。
インディペンデント・プロデューサー
「インディペンデント・プロデューサー」は、自分の今までの単一の仕事を離れ、自分で職を生み出す期間。企業に所属するサラリーマンであったとしても、自分が何かを生産する、またはサービスを生み出すことで、自分の中で職に対する新たな可能性を知るステージのこと。
ポートフォリオワーカー
「ポートフォリオワーカー」は、仕事、ボランティア、遊びなど、公私にかかわらず同時にいくつもの活動に関わる期間。様々な世界と触れ合うことで、違う世代、国籍、仕事、考えの人達と関わることでそれらを自分の中に取り入れ、またまわりに自分の知識やスキルを提供する機会を得るステージのこと。
これらのステージは、今までの勉強、仕事、引退のように順番が決まっているものではなく、人生においてどの順番でも、何度でも訪れることになります。
そのためには、次に述べる「パートナー」の存在がキーとなります。
パートナーの重要性
日本では「結婚」の意味を正面から捉え定義することは憚られていたのではないでしょうか?
ですが、この本でははっきりとそれを定義しています。
パートナーは、100年時代の人生を生きる上で無くてはならない存在です。
家族の最小単位としてのパートナーは、お互いに仕事を持ちお互いに平等です。
病気や怪我のときにはお互いが助け合い、新たなキャリアを身につけるためにエクスプローラーとして大学に入学したり、旅をするときに資金面でも協力することができます。
インディペンデント・プロデューサーとして新たなビジネスを生み出す上でも、様々な場面でいちばん身近な相談者です。一人の考えより二人で考えるほうが何倍も大きなものを生み出すことができます。
パートナーはもっとも大きなセーフティーネットで、子供が生まれ家族が増えればそれはさらに大きなものとなります。もちろん、パートナーや子供への「愛」は、人間にもっとも大きな幸福感をもたらせてくれます。
「無形資産」の大事さ
今までの世界は、いかに資産を手に入れるかが成功の裏付けと見られていました。資産とは「お金」「土地」「建物」を指し、その総量によって人生の豊かさが決定されていると考えられていました。
しかし、近年の研究でそれらお金、土地、建物などの「有形資産」は人生においての幸福感とは直結していないどころか、優先順位としては低いものであるということがわかってきました。
そこでリンダ・グラットンさんは、人生あらたなキーとなる概念「無形資産」を提唱されています。
生産性資産
1つ目として「生産性資産」です。これは仕事を行う上で役立つスキルや知識など。また、仕事につながる人間関係や評判です。
これらはお金などのように簡単に数値化するものではありません。しかし、確実に自分の中に蓄積されていくもので、積み重ねていけば決して他人に盗まれたり消費して枯渇するものではありません。
活力資産
2つ目に「活力資産」です。これは健康であったり、友人関係であったり、パートナーや家族との愛です。
これらは幸福感に直結しており、精神的、肉体的に個人に満足感を持たせ、モチベーションをかきたて、未来に向けて前向きな気持ちにさせてくれる資産です。
変身資産
そして3つ目に「変身資産」です。人生の途中で、「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオワーカー」という新たなステージへの移行を成功させる意思と能力のこと。
変化に対応することがこれからの時代においてもっとも重要なファクターとなります。
多くの人が100年の寿命を得る世の中では、次のステージに移ることが重要になるのは間違いありません。人は新たな環境へ移ることを避ける傾向があります。それを乗り越えるためには「好奇心」「楽観性」が必要で、それが新たなステージへの旅立ちを後押しします。
自分で人生設計を考える時代になる
今までは世界のほぼどの国でも、生まれて学生になり社会に出て、65歳で引退して年金でリタイア後の生活を送る、それが当たり前でした。
これからの時代、そのシステムを維持することはもう不可能なのは明確です。
多くの人が「働く」ことをに意義を見出し、社会に貢献し、生を全うする時代が訪れるでしょう。
また、ロボットやAIの進化で消えていく仕事や業界も多く出始めます。
その時、新たな知識やスキルを得るために再び学ぶこと、新たな仕事を得るために転職すること、違う世代や世界の人々と交わり自分の世界を広げることなど、自分で自分の人生設計を誰もが決め無くてはならない時代が来ます。
また、この本では直接触れられてはいませんが、ベーシックインカムが導入されたとき、自分自身の生きがいや楽しさ、社会との関わりをどう得ていくのか、人間の根本的な存在意義も考える必要が出てくるはずです。
お金では計れない「価値」、スキルを身につけ、友人関係を大事にし、愛する人と一緒に、健康で活力に満ち、「変わる」ことへ前向きに進んでいく。
そうすれば必ず、これからの人生がさらに価値あるものになっていくと思います。
最後に
自分でふわっと考えていたことに裏打ちをしてくれるような本に出会えたことに感謝。
人生は長い。それを愛するパートナーとともに生きていく。生きることとは働くこと。働くことに生きがいと楽しさを見出す。それが価値ある人生を形成し、次の世代へとつなげていく。
ぜひ、みなさんにも読んでいただきたい本心からおすすめできる1冊です。
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